抱きしめる


直江とその、いわゆる…こ、恋人…という関係になってから、二週間がたった。
未だにそんな甘い雰囲気に慣れないオレは、直江を相手にどうもぶっきらぼうな対応しか出来ない。
始終愛してるだとか、想いを伝えてくる直江に、相変わらず冷たい反応を返すだけ。
オレの目下の悩みは、それだった。

直江は優しいから、そんなオレの態度にも苦笑しているだけだ。
ホントはオレだって直江のこと嫌いじゃない。
−−−あぁ、オレは自分の心の中でも素直になれない
でも、あんなふうに、好きだなんて…ぜ、ぜってームリ!!!
そそそんなことしたら恥ずかしさで死ねる!!

悩みはなかなか解決できそうにない。


今日も今日とて、オレの狭苦しいアパートとは比べ物にならない広い直江のマンションに遊びに来ている。
昨日借りたビデオは、前から気になってたサスペンスものだった。
始終ハラハラしっぱなしで、気付けば2時間近くたっていた。
最初は直江と人一人分の距離があったはずなのに、いつの間にかオレは直江の手を握り締めていて。
しかも、直江は自らの太ももに手を置いていただけで、オレはその手の甲に手を重ねるようにしていたのだ。
これはどう考えてもオレが無意識のうちにやったことだよな…。
は、はずかしい…。でも、今急に手をよけたらわざとらしいよな…。
どうしようどうしようーーー!

そんな風に一人で慌ててたら、急に直江がオレの手を取り、その甲に口付けてきた。
「!!!?」
いきなりのことに、オレの脳はオーバーヒート気味。
「愛してる」
…自分の顔が赤くなるのが分かる。
だが、そのあとに続いた直江の言葉にオレは固まった。
「あなたがたとえ同情で私に付き合ってくれているとしても」

ナニソレ…ドウジョウ…?

胸の中にどんよりと澱(おり)のようなものが溜まっていく気がした。
直江はそんな風に思ってたのか?
なんだか、急にオレの気持ちを軽いものとして扱われたように思えて、そんなことを言う直江に腹が立った。
いや、違う。直江にそう言わしめた自分に対して、だ。

いつも、直江の苦笑の中にある、寂しげな表情に気付かない振りをして、曖昧にしてきたんだ。
思えば、オレは直江に対し、言葉にして好きだと伝えたことがない。
付き合うきっかけになったあの事件(と言うのは大げさだが)のときも、直江に頷きで返事をしただけだ。
やっぱオレってバカ。
直江が何も言わないで待ってくれてたのに、それなのに、結局こんな風に言わせて。

そう思ったら、体が自然に動いてた。
膝立ちになって、自分よりも低くなった直江の頭を抱えるようにして抱き締めた。
ちょっと苦しいんじゃないかってくらいに。ぎゅっと。
「…バカヤロウ。同情で付き合えるほど慣れてんなら、こんな風にいちいち悩んだりするかよ! 絶対、おまえよりオレのほうがいっぱい好きだ! おまえは自分の気持ち言葉に出すからいいだろうけど、オレは言えないから! 言えない分、どんどんどんどん好きだって気持ちが溜まっちゃって…!」

溢れそうになってる……

一気にま捲し立てたオレは、ちょっと息切れ気味だった。
そんなオレに、直江はちょっとびっくりしてるようだった。
わ、笑われるかな…
そう思ったけど、返って来たのはとびきりの笑顔で。
直江も立ち膝になって、今度はオレが包み込まれるように抱き締められてしまった。
「高耶さん、ありがとう。嬉しいです。」
嬉しさがにじみ出るような声でそんなことを言う。

「でもね、一つだけ間違ってますよ。」
「え・・・?」
「あなたを好きだと思う気持ちは、何度言ってもその分、いや、それ以上に後から後から湧いてくるんです。だから、私の方があなたのこと、いっぱい好きですよ」
にっこりと、そんな形容がぴったりな極上の(オレの好きな)笑顔で言われて、その後−−−。

初めての接吻が、オレの唇を甘く溶かした。



<さめコメ>
ぎゃーーーぎゃーーー!あ、甘い!甘いよぉ!
ヒィーはじかちーーー!
あんたたち、なんなんですか!
もう勝手にしてください(自分が書いたんだろ)!ぐはーー!
ちなみに、この二人、今回のが初ちゅうです。健全☆
(なのにお子ちゃまgooで弾かれるとはいかなることか)
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