高坂と一緒!2


景虎を甦らせると宣言した高坂に、二人は驚きを隠せない。

「どういうことだ!?本当にそんなことが可能なのか!?」

直江は詰め寄るが、高坂はいたって冷静だ。

「当たり前だ。私に出来ないことなど、お前をいじめずに浄化することぐらいだ。覚えておけ」

なんとも嫌なことを明言しているが、直江はそんなことに気付く余裕もなかった。

「なんでもいいからその方法を教えろ!!」

今にも掴みかからんという様子の直江を見て、高坂は

『あぁ・・・これだ!』

と胸を打ち震わせていた。

そのうち高速大回転を始めるに違いない。

だが、それは景虎と再びまみえた後にとっておこうと我慢する、意外にも好きなものは最後に食べる派・高坂弾正。

「・・・まぁいいだろう。お前の協力がなくては出来ぬこともあるからな」

身振りでついて来い、と示すと、病室を出ようとする。

が、その病院服という己の格好を見て、顔を顰めた。

「こんな格好では外に出られないな・・・。おい、直江。黒いタンクトップとトレンチコート、
黒の皮のパンツ・・・と言っても下着ではないぞ・・それと白いハンカチを買って来い。」

「な・・・!」

すこぶる腹が立ったが、ここで高坂の機嫌を損ねては高耶を甦らせることができなくなってしまう。

「・・・わかった。但し買ってきたら高耶さんを甦らせる方法を教えろ!」

そう言って返事も聞かずに飛び出していった。

10分後・・・・

一番近くの服屋でさえ往復15分はかかるはずなのに、直江は高坂の所望の品を携えて病室に入ってきた。

「これでいいか・・・」

「ふっ・・・さすが直江・・・褒めて遣わすぞ。ほれ、着替えるから病室を出て行け」

・・・あの伊勢での最後のときに見た高坂は幻だったのだろうかと思わずにはいられない直江だった。

「さて、まずは景虎殿の魂を修復せねばならぬ。」

そう言うと窓を開け、お友達(鴉)から人型の呪符を受け取った。

その丁度心臓部にはDと書かれている。

「五百枝王特性、心込め〜る君三号だ!!」

「・・・・・・・」

『・・・・・・・』

あえてそのネーミングやどうして三号なのかということには突っ込まず、話を進める二人。

「で、それでどうするんだ」

「・・・・・・・・この心込め〜る君三号は、千二百年前から使われている由緒正しき呪符だ。」

突っ込みがないことに少し寂しげな様子で、聞かれてもいない説明をする。

「・・・で?」

それも軽くスルー。

この直江、やはりどこか違う!

あきらめて早いとこ景虎を復活させてからいびることにしよう。

「これの中に、四国にいる今空海をすべて収める。それからあーしてこうしてお前の中の景虎殿に送り込むのだ」

なんだか結局大事なことには触れていない気がするが、それは直江の気のせいにしておく。

つつが鏡と似たようなものだろうか?

「しかし、四国にいるのは人々の念を具現化したものであって、高耶さんの魂とは関係ないはず」

「だが残留思念は利用できる。いいからさっさと四国に行って来い!
今空海にその心込め〜る君三号を触れさせれば自動で必要なところだけ吸い取ってくれる」

心込め〜る君を直江に手渡す。

ちなみに初代心込め〜る君は手動使い捨て、二号は手動繰り返し機能付きである。

「お前は行かないのか?」

「私は景虎殿の今生の宿体を持ってくる。いいか、魂も体も鮮度が命!すべて吸い取り終えたら伊勢に来い」

なんだか寿司屋気分な高坂。

それに引き換え直江の表情は強張っている。

想いは残るとはいえ、失った高耶をもう一度この腕に抱けるのかもしれないのだ。

「わかった。準備ができ次第連絡する」

ごく真面目な直江に高坂はつまらない、という顔をしながらも頷く。

直江はそれから何も言わずに病室を後にした。

「さて、私らも行こうではないか、お二人の許へ」

『お二人?』

今までおとなしくしていた晴家が、怪訝そうに訊ねてくる。

「弥勒にも力を借りねばならぬのだ」

あれからまだ幾日も経っていないというのに、その木は樹齢千年を超えるかのような立派な大木となっていた。

ここの神職の誰かが付けたものであろう、注連縄が巻かれている。

おそらく、この木の発する神々しい気がわかる者がいたのだろう。

高坂の催眠暗示のために、周りは閑散として、ただただ静かに時が流れるだけだった。

「・・・・らしい、な。全く。」

『・・・・・・』

桜が日本人の気質を表すとはよく言われたものだ。

高坂はその散り際の潔さはまこと、武士のようだと柄にも無く考えてしまう。

あの景虎が桜の木になったというのもどこか頷けた。

「さて、感慨に浸っていてもしかたない」

その木の根元にある、人の形をしたような岩に、何処に持っていたのか、Dという印が入った徳利を傾ける。

「この酒は五百枝王特製・潤い〜ぬ(改)!」

『・・・あんたってそういうキャラだったのね・・・』

「これを干からびた年寄りにかけて・・・・あとは真言を唱える」

潤い〜ぬ(改)がかかったその岩からは、もうすでに何か異様な気が感じられた。

「ソ〜レニ〜ツケ〜テモ〜オヤ〜ツハ〜・・・」

『あら?知らないはずなのにどっかで聞いたことある真言・・・?』

その瞬間、目の前の岩が突然人の形になった。

「カ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・ル!!」

『ん?これってカー●のCMじゃないの!?』

そんな晴家をよそに、

「せっかく静かに眠ってたって言うのに・・・」

目醒めた弥勒こと、成田譲は高坂に不満げに言い放った。

「弥勒殿には景虎殿の体を取り出してもらわねばならぬのです」

そう言う高坂の顔は、心とは裏腹にとても真摯だった。

続く >>