高坂と一緒!4


そのころ直江は、四国中の高耶と接触するために東奔西走していた。

なんといっても死遍路の数だけ彼がいるのだ。

幾度となく(いろんな意味で)涙目になりながらも、ノルマを達成させる営業マンのごとくネクタイをはためかせるのだった。

一体あと何人いるのか…。

死遍路が新たにやってくると高耶も一人増えるということは、これは一生かかっても終わらないんじゃないか!?

それこそ第二の闇戦国だっつーの!

と思いつつも確実に心込め〜る君三号を太らせていった。

あたりがだんだん暗くなり、スーツもよれよれになってきたころ、頭上を無数の鴉が舞っているのに気が付いた。

日が暮れたんじゃなくて高坂の鴉のせいで暗くなったのか…。

その中の一羽が、直江の顔を目指して飛んできた。

「ぅわああぁあぁ!」

・・・・シーン・・・・恐る恐る目を開ける。

と、目の前で急停止した鴉は、流暢なフランス語で話し出した。

「もうそのへんでいいから早く伊勢に来いっつーの!景虎殿の体を掘り起こしたぞ」

「!!」

さすが腐っても(?)直江!鴉が喋ったこと(内容にも)に驚きつつも、

「め…メルシーボクゥ…」

と礼を述べたのだった。

心込め〜る君3号はだいぶパンパンに膨らんでいた。

なんだか随分と間抜けに見えるが、この中に高耶がいるのかと思うと、自分の中が暖かくなるのが感じられた。

不得意な催眠暗示を駆使し、運休中の高知空港から飛行機を飛ばし、高耶の体の元へと向かう。

他には人一人いない機内で、直江はようやく異変に気付く。

何やら体の中が熱い。

これから高耶に会えるというものから来る心の中の暖かさではなく、

どうやら高耶の魂が、この心込め〜る君3号の中の彼自身に反応しているようなのだ。

その心込め〜る君3号のほうも、それに反応して発光しだした。

点滅を繰り返しながらだんだんと輝きを増している。

ど…どうすればいいんだ!?

『直江!その心込め〜る君3号を食べろ!』

急に高坂の思念波が直江に届いた。

どうやら無意識のうちに高坂に思念波をとばしていたらしい。

「た…食べるだと!?」

『そうだ。お前の体内に取り入れることで、お前の中の景虎殿と融合する!』

…本当だろうか…。しかし高坂がここで嘘をつく理由も思い付かずに(今まで散々理由もなくいびられたことは忘れ去っている)

ままよとばかり、直江は心込め〜る君3号を口に放りこんだ。

「うぐっ」

結構な大きさになった心込め〜る君3号に苦しむ直江。

『噛んだりしちゃならぬぞ。口の中で破裂させたら取り返しがつかん』

「おんあ〜(そんな〜)フガフガ」

それでも高耶のためよ、と直江は喉に押し込む。

「ぅおえっ」

オエオエ言いながらもなんとか飲み下す。

心込め〜る君3号が食道を降りていく様が感じられてなんとも息苦しい。

すると、体の熱が増すのが感じられ、次の瞬間

『・・・・・・な・・ぇ?』

もう二度と聞けぬと思っていた愛しい人の思念が聞こえた。

「!高耶さん!?」

『なんで・・・オレ・・・?』

高耶は状況がよくわからずに、愛する男の中の心地よさだけを感じていた。

「高耶さん、申し訳ありません。貴方のいない世界に耐えられずに、
疲れきったあなたを起こすような真似をしてしまって…」

『直江…本当にお前の中ってあったかい・・・・』

まだ寝ぼけたような状態の高耶の様子に思わず微笑みながら、

「もうすぐあなたを元の体にもう一度換生させます」

『?何言って・・・・もうオレの体は・・・』

少しだけ意識をはっきりさせながら直江に問う。

「高坂がなぜかあなたの体を蘇えらせると言って、今伊勢にいるんです。」

高坂がなぜそんなことをする必要があるのか、高耶自身にもわからない。

この美しい世界を守るために全てを賭したはずの自分が、またこの世に戻るなどということが信じられない。

しかしまた、再びこの愛する男のことを感じられるということに胸が熱くなるのも事実だ。

高耶は何度でも伝えたい思いをまた、自分の体が滅びたとき以来初めて直江に伝えた。

『直江・・・ありがとう・・・・・・あいしてる・・・』

「・・・っ」

直江は知らず流れる涙を拭おうともせず、愛する人がいる己の体を抱きしめた。

そんな感動の場面が繰り広げられていることも知らないこちら三人は、

「直江さん来るまでだいぶあるんじゃないの?それまでずっとこうしてるのって暇じゃない?」

高耶に触れることも叶わないとわかると、見ているだけでいいという慎ましさを忘れてしまった譲が文句を言い出す。

「しかしここを離れるわけにも参りますまい」

高坂も暇なのは同じようだ。

「あ!そうだ!綾子さん、千秋にこのこと知らせなくていいの?」

高耶が生き返るということを知らせること自体よりも、それを知った千秋がここに来れば暇も潰せる、という考えが譲の頭を支配する。

『!そうだわ!というか、あいつの体って今どうなってるのかしら?』

「とりあえず思念波送ってみてください」

『オッケー!』

続く >>