パー直江物語3


とりあえず精神科に行く前に、この目の前のナオエとかいうタバコ星人が何者かをはっきりさせよう!

と、高耶は(見たくないが)直江のほうを見る。

相変わらずニコニコしてこちらを見つめてくる直江。

「あのさ、さっきも言ったけど、おまえってなんなワケ?タバコ星人?」

自分でも馬鹿げたことを言っているという自覚はあって、思わず顔を赤らめてしまった。

だが、直江は至極真面目な顔で、

「私はもともと人間です。しかし、意地悪そうな魔法使いにこんな姿に変えられてしまったんです!
心の底から愛する人を見付け、また、その人にも私を愛してもらえなければ、一生をこのままの姿で過ごさねばならない…!」

「それって美女○野獣のパクりじゃん…」

「まあ、作者が(他称)小学三年生ですから…」ボソボソ

「あ?なんだって?」

「いや、なんでもありません。とにかく、そういうわけですので、よろしくお願いします」

深々と頭を下げる直江。

「はぁ!?意味がわかんねぇよ!なんでオレがお願いされなきゃなんねぇんだ!」

高耶はこの事態を気のせいだと認識しようという努力も忘れ、直江に怒鳴る。

「なんでって…私の愛する相手があなただからですよ」

にっこりvという音が聞こえそうなほどのいい笑顔を見せる。

「なんだそれ!?オレは男だ!」

それ以前に、あなたはタバコに告白されてるんですよ?高耶さん…

「私も、高坂…あ、魔法使いの名前です。あいつに『おまえを一番に買う、仰木高耶という青年を愛するようになるだろう』
と言われたときは驚きましたが、あなたと出会ってみて気が付いたんです。愛には性別の壁など存在しない、ということに。」

語るタバコ。

「んなこと言われても!」

高耶のセリフは軽くスルー。

「あ、ちなみに私のことはパーラメント直江、略してパー直江と呼んでください。」

「………」

こうして二人(一人と一本)の生活が始ま(ってしま)った。

自分をパーと呼んでくれ、と言うタバコを目の前に高耶は、はたから見てもげんなり…という表情でうなだれている。

「高耶さん、聞いてもいいですか?」

「あ?なんだよ…」

半分諦め気味でパー直江に応える。

「あなたはなんであそこで倒れそうになっていたんですか?」

実際、そのあと倒れてしまったわけだが。

「あぁ、バイト帰りに暑さでふらふらしちまって、とりあえず飲みもん買おうとしてたんだよ。
バイトに通うときはいつもバイク使ってたんだけど、故障しちまって修理に出してるから歩いて通ってんだ」

そうすると、このワケのわからない生きものが見えるということの大元の原因はバイクの故障にある気もする…。

「あ!そういやおまえ、どうやってオレのこと運んだわけ?」

こんな自分の手のひらに乗ってしまうちんまいヤツが、どんな魔法を使ったのか気になる。

「あぁ、私は一日に少しの時間だけ元の姿に戻ることができるんです」

高耶が倒れる瞬間に元に戻り、支えてくれたようだ。

「え、じゃあ、おまえがオレを抱えてここまで来たのか?」

歩くと早足でも15分はかかる。いくら高耶が青年にしては細めの体だと言っても、かなり大変なことだ。

しかしパー直江はけろっとした顔で、

「ええ。倒れたあなたを放っておくことなどできませんからね」

笑顔で言われ、高耶は思わず、こんなちんまいのに、オレなんかのために…とちょっとじんと来てしまった(実際はデカイ図体なのに…)。

「そっか…ありがとな…」

ぶっきらぼうに言う。

「いえ、愛するあなたのためですから。ところで高耶さん、私をここに置いてくれませんか…?」

とさらっと愛してるなんて告白したうえに、下から懇願するように見上げてくる。

つぶらな瞳(?)で見つめられ、思わず『う…っ』とつまってしまう。

高耶はこういう、『どうする アイフ○〜』系には弱いのだった。

「ま、まあ、助けてもらったお礼っちゃなんだけど、ちょっとの間ならお、置いてやってもいいぜ…」

心なしか顔を赤く染めて言う。

その色香はすさまじい。

『たっ高耶さん!私を誘っているんですか!?あぁ、ちくしょう!元の体だったら即押し倒すものを!』

と危険なタバコの思惑などには微塵も気付かず、高耶はパー直江とともに一つ屋根の下で過ごすことになったのだった。



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