cause and effect 6
どんよりとした気分のまま、それでも努めて何も無いように振舞って数日がすぎた。
その間、ほんとに自分が直江を好きなのか自問自答を何度繰り返しただろうか。
直江を好きだと思う理由を考えて、それが見つからないことに気付く。
理由が言えないなんて、本当に好きてワケじゃないのかも…と考えてみるものの、直江の顔を思い出すだけで胸がじんわり温かくなる。
今まで、本気で人を好きになったことはなかった。
こんな短時間の付き合いで、しかもバイト先に来るだけの、友人でもない、知り合い程度の仲の人が相手だけれども、
この気持ちがすき以外の何者でもないということだけはわかるのだ。
そして、好きに理由なんてないのかも知れないということも。
(まぁ、どんなに考えたって、諦めるしかないのは確かなんだよな…)
こんな気持ちのまま、直江に会うのは嫌だったけど、そんな理由でバイトを休むわけにもいかない。
そして案の定、直江はやってきた。
今日は一人だ。
入ってきた瞬間にオレに微笑みかけてくる。
そんな表情を見て、オレの胸は勝手にぎゅうっと切なくなる。
嬉しいのに、その後に思い出すのはあの日の光景で。
だから、今のオレにはそんな笑顔でさえ残酷にしか感じない。
とりあえず表情は固いながらもなんとか笑顔を見せてお辞儀をした。
きっと引きつってんだろうな。
すると、直江がおもむろに近付いてくる。
今はあんまり話をしたくないと思っているのに…
「こんにちは。この間はすいませんでした。お仕事の邪魔になりませんでしたか?」
そんな風に話しかけられると心は勝手に弾んで心臓が踊りだす。
しかし、またあの親しげな様子を思い浮かべては気持ちがしゅんとする。
天と地を行ったりきたりして、オレの心臓はそのうち壊れてしまうかもしれない。
「あ、別に…」
そんなわけで、返事もどんよりとした声になってしまった。
直江もそんなオレの様子に気がついたらしく、訝しげに顔色を窺ってくる。
「…やはり迷惑をかけてしまいましたか?」
そんな風に真摯に考えられると、自分が悩んでいる理由が理由だけに、ものすごくすまない気持ちになり、慌てて否定する。
「ち、違います!そんなんじゃ…!…ただすんごい美人な彼女だからビックリしちまって…」
「彼女…?綾子のことですか?あいつは…」
直江がちょっと嫌そうな顔でそう言いかけたとき、レジに客が来て会話が途切れてしまった。
そしてオレたち二人を引き離そうとでもするかのように、今までヒマだったレジに次々と客が並び始め、
直江もしかたなく諦めて店を出て行ったようだった。
忙しいおかげでオレは直江が言おうとしていたことが何だったのかと考えずにすんでほっとしていた。
そしてオレは知らなかった。
この日、譲と千秋がオレたちのことを見ていて、さらに直江と接触していたことを。
<さめコメ>
久しぶりに書いたのでどうなんでしょう。大丈夫かしら(何が)
あとは締めだけだわ!なんつーか見え見えな感じですが、
物語の世界だけでも都合よくいってほしいですから!